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脱原発ちゃぶ台返しアクション
広ーい通り
そう銀座通りがいい
銀座通りの真ん中に
みんなでちゃぶ台持ち寄って
ずらーっと一列に並べてね
ちゃぶ台の上にはおにぎりにサンドイッチ
お漬物に佃煮に
さつま揚げに天ぷらに
食べたいものをラップにくるんで
さあさあさあと盛り上げて
みんなで仲良く食べるふりして
いっせーのせーで
ちゃぶ台返しアクション
サイカドウ?
ふざけるなー
たぁーーーー
みんなで一斉にちゃぶ台ひっくり返す
星飛雄馬のお父さんみたいに
白虎隊みたいに
ならぬものはならぬ!って
ちゃぶ台ひっくり返すとこ
テレビが中継する
新聞社が写真を撮る記事を書く
ひっくり返したちゃぶ台戻して
ひっくり返したおにぎり拾って
原発なんていりませんよねえ
ほんとですよねえってみんなで話す
うちのばあちゃんの漬け物うまいっすよ、とか言って
ほんとはそんなことしたい
脱原発だってなんだって
節電だってなんだって
楽しくなくちゃ人は来ない
人が来なけりゃテレビは来ない
テレビが来なけりゃ新聞は来ない
新聞が来なけりゃ田舎のばあちゃんも
電気は足りてる
原発なんていらない
孫の命を守るためには
原発止めるとこからなんだって
わかってくれない気がするの
だからアクション
ちゃぶ台返しアクション
日本の真ん中の
だれでも知ってる天下の銀座の道の真ん中で
ひとりビール
ぷしゅっと開けた缶ビール
なかなか減らない
まるでドラム缶から飲んでるみたい
ぎざぎざの喉にひっかかるのは
黙って飲んでいるからか
おしゃべりしながら飲んでいるときは
恵みの水みたいに
さわさわ喉に入っていくのに
まるで罰を受けてるみたいに
にがにがと飲む
ひとりビール
おいしい仕事
冷凍庫から出したばかりの
お揚げはいつもかたくなです
こんな寒いところに押し込めやがって
第一声はそんなふう
それを背中で聞きながら
しばらくそのままにしておきます
その間にわたしはお湯を沸かしたり
お野菜を切ったり
そのうちにカチンコチンだったげもお揚げも
しょうがねえなあ
仕事してやらあとばかりにしんなりして
まな板の上でおとなしく切られてくれるのです
今夜はお味噌汁のなかで
おいしい仕事してもらいましょ
いつのまにか
汚れたら洗う
壊れたら直す
落ちたら拾う
っていうのが いつのまにか
汚れたら買い替える
壊れたら捨てる
落ちたらあきらめる
っていう暮らしになってきて
とってもつまんないことになっている
そわそわ
つぼみのときの桔梗の色の
深い静かな海の色の
それはそれはやさしい青の
チェックの布を買いました
さっそくワンピースの型紙を置いて
前身ごろに後ろ身ごろ
ポケットもまあるく裁ちました
ところが身ごろを裁ったあとの布が
置いてきぼりにされた子どものようで
なんだかそわそわ
むねがそわそわ
会議は続く
国民主権も
基本的人権も
ただの紙切れになってしまった
頼みの綱の選挙権は
ずいぶん昔から香典返しのように
お世話になった
お世話になるからと
そんな風にやりとりされて来て
ただの紙切れの値打ちもない
お金で骨抜きにされてる人たちと
お金さえなくて生きるだけで精一杯な人たちと
お金で何でも思い通りになると思っている輩
全体から差し引いた残りはほんのわずか
わずかな紙切れを持ち寄って
これからどうしようかと
今夜も遅くまで会議が続く
だってあなたは
ようこちゃんに なれなくてもいいのさ
だって君はたろうくんなんだから
たろうくんに なれなくてもいいのさ
だってあなたはゆうこさんなんだから
ゆうこさんに なれなくてもいいのさ
だってあなたは
だってあなたは
あなたなんだから
きっとおしゃべり
ことばなんて使わなくたって
きっとおしゃべりできる
目とか手とか
指とか足とか
膝もお尻も
きっとおしゃべり
時間をかけて
ゆっくりゆっくり
どんな気持ちかな
こうかな
ああかな
知りたい気持ちで見たり触れたり
赤ちゃんとおしゃべりするときの
あの感じで
欲張らなければ
きっと伝わる
だからひとり
よそいきの言葉で
手紙を書いたのはわたしだから
よそいきの言葉で
返事が来るのはあたりまえ
わたしが裸にならなければ
相手も裸にはなれないってこと
わかっていて出来なかったのは
傷つきたくなかったから
それだけの理由
いつでも自分が可愛い
カッコつけて自分をかばって
だからひとり
こんなにひとり
話したいことがありすぎて
話したいことがありすぎて
なにから話していいかわからないよ
ぎちぎちに詰め込んだ本棚みたいに
こころがいっぱいで取り出せない
夜の買い物
町のひとたちが
おうちでご飯を食べてるころ
順番にお風呂に入ってるころ
こっそり行って
お店をぶらぶら見て歩く
お店のひとも
早く帰りたくてうずうず
だから話しかけられるしんぱいもない
こっそり行って
自由に歩く
そんな夜の買い物が好き
カレーを作っているうちに
カレーを作っていると
なんか足りない
あれ入れてみよう
これ入れてみよう
ぐつぐついってるおなべのそばで
あれを足したりこれを足したり
そうこうしているうちに
よしよし
しめしめ
これでよしって
お城の地下室で毒薬作ってる
おばあさんの気持ちになっている
実のひとりごと
実がならなかったら大変
何も残せなかったら大変って
みんな思っているから実って大変
プレッシャーでへとへと
実がなるかなあ、どうかなぁっていつもドキドキ
その点葉っぱは今を清々しく生きる
あたしが実だってこと誰にも言わないでね
ぺんぺん草の葉っぱの振りした
ハート型の実のひとりごと
ぺんぺん草
ハートの形をしてるんだよ
ぺんぺん草
そぉーっと葉っぱをひっぱって
ちょっとだけ楽にしてあげる
切れないようにひっぱるのは
ちょっとどきどきするけど
たくさんあるハートの形の葉っぱを
ひとつずつ
きれいにひっぱったらぺんぺん草
きれいな音で鳴るんだよ
かしゃかしゃかしゃかしゃ
耳のそばで鳴らしてあげる
ぺんぺん草
マダム
ともだちに
バレエ教室に誘われてます
初心者クラスは
マダムクラスと言うなまえ
なまえがなんだかすてきでしょ
マダムになろうかどうしようか
ただいまこっそり考え中
もやし
もやしの根っこをとっている
根っこを取りながらかんがえる
今夜のおかずをかんがえる
くねっとまがったもやしの根っこを
ぷちんとちぎってもやしと分ける
きれいなもやしはボールで光る
水で流して良くみたら
もやしってぜんぶ根っこだった
なんだかわるいことしちゃったな
ちいさくなあれの粉あげる
みちのまんなか
ひっくりかえって
駄々をこねてる坊やのそばで
疲れきってるお母さんに
ちいさくなあれの粉あげる
坊やのおつむにこの粉かけて
ぽけっとに入れて連れて帰る
自転車すいすい
階段とんとん
さあお家についたわよ
かいものかごを
床におろして
ちっこくなった坊やのよこで
やれやれがおのおかあさんに
おおきくなあれの粉あげる
坊やのおつむにこの粉かけて
頭なでなでお家についたよ
お手手ゴシゴシ
うがいがらがら
さあおやつを食べようね
なかまはずれ
コンプライアンスとか
言われても
なんのこっちゃのちんぷんかんぷん
みんなが知らないことばで
ちょっとのひとたちだけが知ってることばで
話そうとするのは楽しいのかしら
なんだかそれって
なかまはずれみたいで
やな感じ
門前仲町
門前仲町
ゆうべあそこで会ったひとたちは
みんな役者さんだったにちがいない
畳屋さんで消防団員で焼き鳥屋のお兄さんも
閉店した薬屋さんのまえで
あらあ、閉店しちゃったのねえって
わたしに話しかけてきたおばちゃんも
みんな本物みたいだった
いまごろ楽屋でタバコでも吸って
やれやれってくつろいでいるだろう
波
新しい波が古い波を消していく
新しい波は次から次へと生まれてきて
ひとつ前の波を砂のなかに消してゆく
だいじょうぶだ
きっときっとだいじょうぶ
新しい波も
かならず古い波になっていく
カタツムリ
みんなカタツムリがだいすきで
○○新聞のだれだれさん
どこそこ大学の○○さん
背負ってるおうちが大きいと
すてきすごいと褒めそやす
母の嫁入り
運転免許を取ろうとおもうの
靴を履きながら
母が言った
前からやってみたかったの
ちょっと遅いかしら
母が振り返った
遅いなんてことないよ
やってみるといいよ、がんばって
母は満足そうに笑った
お母さん
あなたをお嫁に出したとき
保育器のなかにいたあの子の
十七回忌がもすうぐです
ああ、桜が咲きますね
似合わなくなった服は
昔の服が
似合わなくなってること
気がついたら
もうその服は着られないでしょう
けれど
それが服ではなくて
長い間一緒に暮らしてきたひとなら
そんなわけにはいかないから
持ってるものを組み合わせたり
足したり引いたりして
なんとか着られるように
それも生きているということかしら
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